2015年6月18日木曜日

新大学入試テストに記述式  教育の原点に戻ることが必要だ


今度は、新大学入試テストでは、一部の教科で、記述式の問題を盛り込む、のだという。
これまでも、度々、変更がなされた。そして、失敗をした。
いまこそ、教育の原点に戻ることことが、必要だろう。そうでなければ、また、失敗を繰り返すだけである。




1) 制度を変えることで、入試試験が、本当に改善されるのか

 また、大学入試を、変更することが検討されている。
今度は、マークシートの形式を一部改める計画のようだ。
文部科学省は18日、大学入試改革の具体策を議論する「高大接続システム改革会議」(座長・安西祐一郎日本学術振興会理事長)を開き、大学入試センター試験にかわる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に記述式の問題を盛り込むとの素案を示した。
 2020年度の実施を目指す学力評価テストでは、思考力や判断力、表現力を適切に評価できるよう、長文を読んで複数の答えを選ぶ問題を出すことも検討する。
新大学入試に記述式 文科省素案、思考力を評価 


高校段階の基礎学力の定着度を測る、「高等学校基礎学力テスト」は、国語、数学、英語の3教科。
採点は、10段階以上で結果を示す、そうだ。

英語については、「読む・聞く・書く・話す」の4技能の評価を重視。
民間の資格試験の主催団体との連携を検討なのだ、という。

「話す力」を、個別にみるには、相当な時間がかかる。
そのため、別日程での実施も視野に入れる、ことがけんとうされている。


 よく、コロコロと変わる、大学入試制度だ。
制度を変えることを検討するにあたって、現在の制度について、どれだけのことが、検証され、そのことについて、いかなる評価をしたのであろうか。

その結果についての、報道は、ない。
この記事も、そこまでは、伝えていない。

おそらく、独自な取材による記事ではないからだろう。
当局が、発表した事をそのまま伝えているだけのことではないか。

問題は、現在に入試制度のどこに欠陥があるのか。
それについて、どういう評価をしたのか。

制度を変えることで、入試試験が、本当に改善されるのか。
これらのことについて、報道してこそ、マスコミとしても、存在価値があると思う。

2) 予備校などの受験産業が、潤うだけの「改革」だ

 (1)で、述べたことと関係すのかどうかは、よくわからないが、「<大規模私大>の定員超過分を助成減額」することが、決まった、ようだ。
都市部の大規模私立大学に、学生が集中することを避けるため、であるらいい。


定員超過が常態化している都市部の大規模私立大学に学生が集中することを避けるため、文部科学省は入学定員を超えて学生を受け入れた私大に対し、超過した学生数に応じて補助金(私学助成金)を減額する方針を決めた。一定の定員超過が続いた場合は新学部の設置や定員増も認めない。
 政府の地方創生策の一環で、学生数を抑制することにより大都市への学生流入に歯止めをかける狙いがある。年内に助成金交付基準などを改正するが、受験生の混乱を避けるため、適用には数年の猶予期間を設ける方針だ。
<大規模私大>定員超過分は助成減額…文科省方針
現在は、「定員超過しても定員分の助成金を交付している」が、今後は超過した場合は、定員分から(ここが、ミソである)カットする方針、なのだという。

他方で、入学者が定員を数%下回っても、定員に近づける「努力」をしたと認め(なんということを)、定員分の助成金を交付する、という、ばかげた案だ。


 今後は「超過した場合は、定員分からカット」では、大学は、「定員数」をふやしことだろう。
それは、当然、想定されることだ。

大学が、「定員数」 を増やすことについては、いかなる対応をするのか。
そのことについて、しっかりと「管理徹底」できるか。

そのことについて、大学側からの反対は、ないか。

「入学者が定員を数%下回っても、定員に近づける「努力」をしたと認」みとめる、というのは、地方の大学に配慮してのことだろう。

それで、はたして、地方の大学が、学生を呼び込めるような、「努力」をかたむけることに、なるであろうか。
ただ単に、都市部の大学の定員を制限したところで、地方の大学が、「魅力ある」大学にならない限りは、ダメだ。

それでは、かえって、受験をより厳しい「戦争」へと導くだけの、結果にしかならない。
予備校などの受験産業が、潤うだけの「改革」になることだろう。


3) 受験産業界が、何の見返りのなしに、企業献金をする訳がない 

今年の2月に、「下村博文文科相が「違法献金」 週刊文春報じる」という記事が、掲載されたことがある。
下村博文(文部科学相)が、塾業界から「違法献金」を受けている、という事を、報じたものだ。

下村博文・文部科学相が、塾業界から「違法献金」を受けていると、26日発売の「週刊文春」(3月5日号)が報じた。記事では、「収支報告書の虚偽記載や、場合によっては詐欺に当たる可能性がある」と指摘する専門家のコメントを紹介。政治とカネの問題で、農林水産相の西川公也氏が辞任したばかり。今後、下村文科相への追及が本格化しそうだ。
 
【速報】下村博文文科相が「違法献金」 週刊文春報じる
 このことについては、当時は、ずいぶん話題にされた。
あれだけ騒がれたのに、まだ、文科相の「イス」に、居座っている。

おとなしそうに見えるか、相当な「やり手」なのだあろうか。
私には、ただただ、安倍首相が、以前の「二の舞」を避ける意味で、「更迭できない」だけのことである、と思えるのだが。


さて、今回の、この「文科省素案」。
下村文科相の、過去の「醜聞」とは、一切、関係がないこと、だろうか。

受験産業界が、何の見返りのなしに、企業献金をするなどという事は、到底、考えられない。
これは、単なる「邪推」にすぎないことだろうか。

4) 教育の原点について、よく考えることが必要

これまで、何度となく、大学の受験制度や、入試試験のあり方が変更されてきた。
だが、今もって、根本的な解決には至っていない。

これは、何故なのか。
このことの、反省、真剣な検討なしにしては、いかなる「改革」の着手しようとも、また、さらなる改革を余儀なくされることだろう。

何よりも、教育の原点について、よく考えることが必要だ。
≪教育≫は、個人の成長をはかるものである。
このことを、真剣に考えることである。

けっして、企業の要請や、国家のためにおこなわれるものでない、ということを、もう一度、しっかりと確認することである。

(関連サイト案内)
新大学入試テストに記述式 高校基礎は3教科、文科省素案=東京
新聞
都市部の大学、学生集中に是正策 補助金交付を厳格化、文科省=47ニュース

(2015年6月18日)

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