2013年8月9日金曜日

集団的自衛権の行使の容認には、正当な手順を踏むべきだ。

松氏が内閣法制局長官に就任した。
あと「安保懇」が、集団的自衛権の容認する提言をまとめ、政府が防衛大綱に組み込めば、日本は、また戦争への道を歩みだすことになる。


産経ニュースは、「集団的自衛権 不転体で行使容認急げ 安保体制の強化優先を」との見出しで、安倍首相を後押ししている。

従来の政府の集団的自衛権への解釈を変え、憲法の改正なしに、アメリカとともに戦争するように、と主張する。

集団的自衛権の行使は「自衛のための必要最小限度の実力行使」に含まれる 』

と表明すればよいと、安倍首相にアドバイスする。

そして憲法解釈は、これまでも「随時変更されている」とのべる。


「随時政府の都合で変更すること」こそは、憲法の禁じていることであるのは、問題ではないらしい。

そして「安倍首相の覚悟と決断で、日本の安全と平和は間違いなく守られる」と

主張する。

本当にそういえるのであろうか。

15日の終戦の日に安倍総理大臣や閣僚が靖国神社に参拝した場合には周辺国との緊張を高めるとして、懸念を示す報告書をまとめました。」とNHKは、8月3日に報じた。
これは単なる報告ではなく、アメリカ議会の報告書なのである。
またシンクタンクのクリングナー氏が、「日本での歴史認識を巡る発言は非建設的で、日米韓の3か国の強固な関係を妨げる不必要な挑発となる。・・・」と述べたことも、あわせて報じた。

歴史に意識をめぐる発言とは、安倍首相や、維新の会の橋下党首などのことであろう。
安倍首相の「村山談話」に対する評価や、橋下氏の「慰安婦」発言などを指すと思われる。
首相は、その解釈は歴史家に任せると逃げているが、政治家こそ責任をもって、自己の考えを述べるべきである。

月9日の東京新聞は、『安倍首相の歴史認識は「米国の国益を害する恐れがある」しとの報告を』と、同様にアメリカの議会報告を載せた。

アメリカとの同盟関係を回復させたと自慢した、安倍首相に対してである。
これではまるで「裸の王様」ではないか。

同じく5月9日の日刊ゲンダイは、朴大統領への厚遇と安倍首相への扱いを比較して、首相が「オバマ大統領に嫌われている」と報じている。

安倍首相 オバマ氏に米中会談の話聞くどころか会うのやっと」との週刊ポストの記事がある。これはその事を裏付けるものであろう。

産経ニュースの言うように、安倍首相が日本の国益を守れるのかどうかは疑問である。

倍首相は、産経ニュースが主張するように、集団的自衛権の行使の容認を急ぐべきではない。
多数の国民に支持されたというのなら、法律的な手順をしっかりと踏んで、するべきだ。
まず憲法を順守することが求められる。
憲法96条を改正するのは、もってのほかである。
憲法99条違反である。

国会で多数を占めているのであるから、憲法の規定どうりに、三分の二の賛成を得ることにこそ努力するべきだ。それが大変だから、まずそれを改正すると言うのは、決して「美しい」行いであるとは言えない。

今夏、安倍首相は、官邸へ全国の子供の代表を招いたようである。
そんなことをしなくても、普段の政治的言動こそが、子供たちを教育する一番の手段である。官邸を見せたところで、大した教育にはならない。

数に物を言わせず、丁寧な説明をし、正当な手続きを踏んでこそ、初めて「集団的自衛権」行使の容認に、その正当性が付加される。

また、いま国民の大半が何よりも望んでいることは、景気の回復であり、福島の事故の対策であり、社会保障制度の改革などである。
安倍首相にとっての優先課題は、「集団的自衛権の行使の容認」にあるのではない。