2013年8月27日火曜日

東電社長直属「汚染水対策室」の設置でも、事故の解決は無理だ

もう驚きはしないが、いまさらながらと、あきれるばかりだ。
東電の社長の会見である。産経ニュースによる。

【東京電力福島第1原発で高濃度の放射性物質を含む汚染水が流出した問題で、東電の広瀬直己社長は26日、会見で広瀬社長を本部長とする社長直轄の「汚染水・タンク対策本部」を設置したことを発表した。】

今頃何を言っているのか、というのが大方の反応であろう。あれだけの事故をおこしたのだ。全社挙げて事故対策をするのが当然であろう。
本店の社長室に、総合対策本部を置いて、事故に対するあらゆることに対応できるようにしておくことが求められるのは、危機管理の常識だ。
日本の中で超一流会社と言われる東電にしてこの程度なら、他の日本の会社の程度が知れる。
経団連を初めとする産業界が、日本の将来を全く考えようともせずに、ただ闇雲に原発の再稼働だけを優先させようとする姿勢も解ろうと言うものだ。

【対策本部は福島第1原発と本店に作業チームを設置。福島第1には、汚染水やタンク問題などトラブル対応にあたる「機動力強化チーム」を新設、さらにタンクパトロールやタンクの増設など「タンク対策・運用」を扱う4チームを設置した。本店内には汚染水の現状把握やリスク管理を検証するチームを置いた。】
本当に今まで何をしていたのか、首をかしげたくなる。
本当にこの通りだとしたら、東電の社長は、今まで現場任せで、「何もしてこなかった」に等しいことになりはしないか。
これではいつまでたっても、事故が収束へ向かわず、拡大する一方であることがうなずける。後から後から、ボロボロと、不手際が明きらかになる原因も解る。
会社のトップが、この事故に本気で取り組んではいなかったのだ。これでは、現場がいい加減になるのも、うなずける。
トップが真剣でないのに、どうして現場が真剣になれよう。
社長自らが東電の事故現場に詰めて対策に当たるぐらいでないと、社員の士気は上がるまい。
国民に対しても言い訳が出来まい。
何かある度に「方針」が明らかにされるだけで、実際は、協力会社に丸投げしているように思えてならない。
         *    *     *     *     *
元々東電は規制委の管理のもとに置かれているのだから、規制委が「管理のずさんさ」にあきれると言うのもおかしい事だ。
規制委がしっかりと東電を監理する義務があるのだし、そのようにしておれば、━━タンクからの汚染水の漏れについては━━防げた事故だ。
国が関与して「しっかりと対応する」と安倍首相が言い切ったのが、首相が夏休みに入るまえの8月8日のことだ。
それから何日が経っているのだ。今度のことで、首相の言葉は口先ばかりであったことが、はっきりとした。そして今頃になって現場を視察した茂木産業相の言葉が、これだ。
【茂木敏充経済産業相は26日、・・・東京電力福島第1原発を視察し、汚染水が漏れた地上タンクの巡回強化などを東電に指示した。東電も同日、対策本部設置や国内外から専門家を招くことを柱とする追加対策を発表した。・・・汚染水が漏れたタンクや汚染水の流出対策工事などの現場を確認。視察後、記者団に「今後は国が前面に出る」と述べた。】
この発言は、安部首相が「国が責任をもって対策を取る」と明言した後も、国が何もしてこなかったことを証明している。

つまるところ、東電も規制委も国も、いい加減な対応しかしていなかったことが、明らかになった。お互いに責任を擦り付け合ってきたとしか言いようがない。

これでは国民に対して、世界に対しても、言い訳がたつまい。

国会も「選挙疲れ」なのか、まるで他人事に様に考えているせいかは分らないが、何の動きもない。

事故から2年半になる。

この間、何一つ有効な対策をたててこれなかった。それなのにいまさら何が出来ると言うのだ。事故に目を向けずに、再稼働する事ばかりに夢中になっているから、こんな結果になるのである。

もう夏も過ぎようとしている。
この際、再稼働のための審査を中断して、事故の対策に集中するべきだ。

国は思い切った決断をすべき時であると思う。それは以下のことだ。

この現状では、━━恥ずべきことであるが━━もう日本の国で対応することはあきらめて、しかるべき国際機関に依頼して、事故の終息を図る以外に、手はなかろう。
このことである。

東電、規制委、政府や国会に任せておいたのでは、本当に手遅れになる。

≪関連サイトの案内 ≫
産経ニュースの記事
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130826/dst13082621130011-n1.htm
茂木相の視察を伝える毎日の記事

http://mainichi.jp/select/news/20130827k0000m010072000c.html

(2013年8月27日)