2014年1月9日木曜日

「原発ゼロ」を語ることは、「亡国の輩」のすることか。

まだ、「お屠蘇気分」が抜けません。

現在、仕事を持たない私には、正月休みも何もないのですが、松の内が終わるまでは、今までの習慣でどうも頭の回転がにぶったままです。




PRESIDENT Onlineが、飯島勲氏の「亡国の輩よ、「原発ゼロ」の話はやめよう」という記事を掲載した。
副題には「社会人よ  この程度の知識を持て」とある。
http://president.jp/articles/-/11634
http://president.jp/articles/-/11637?page=2

どの程度の知識なのであろう。
項目をすべて拾ってみた。(詳しい内容は、上に貼り付けたサイトをご覧ください)


[1]最終処分場について
[2]増える貿易赤字
[3]自然エネルギーの可能性
[4]原発の安全
[5]菅直人の罪
[6]発送電分離
[7]原発ゼロについて

このうち一番問題なのは,[4]であろう。
飯島氏は、原発が安全であることを、以下のように証明しようとする。

「女川では外部からの送電線5回線のうち1本が無事で、非常用ディーゼル発電機も健全に稼働した。・・・12年7月には、国際原子力機関(IAEA)の調査団が女川を訪れ9日間かけて詳細な調査を行ったところ、「M9の大きな地震にもかかわらず、驚くほど損傷が少なく、設計時に十分な余裕度があった」と評価された。(ので=投稿者)・・科学的な根拠と技術力に裏打ちされた安全性は今でも健在なのだ。東北電力の成功を見習えば、1000年に1度と言われる規模の災害にも耐えることができる。」

氏が「原発が安全だ」と述べるのは、まとめると「たった」これだけである。
これで原発の安全性が証明されたことになるのだ、という。
いくらなんでも、杜撰すぎる。

もっとも、氏は初めに最低限の知識と断っているので、まだ、「論」があるのかもしれないが。

それにしても、これでは、何故わざわざ東北などの辺鄙なところに原発を建設したのか、それに地元の自治体に高い補助金を政府が出してまで作ったのか、が説明できていない。

それほど安全なものであれば、わざわざ遠くに作る必要はない、だろう。
よく言われるように、東京に持ってくればいい。

また、姉川は東北震災の時の震度は6弱であることも、「故意にか」説明されていない。
これでは、もし、姉川の近くで7やそれ以上の地震が起こった場合はどうなるのか、を説明できない。

しかも、外部電源が5本の内1本しか残らなかった、と氏も認めている。

さらに、2012年7月10日付けの北海道新聞によれば、「東北電力は10日、女川原発(宮城県石巻市、女川町)3号機で、燃料集合体を覆う金属製カバー1体の一部が欠損しているのを確認した、と発表した。東日本大震災の地震の揺れとの関連など、原因を調べている。 ということである

http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/nuclear201207/168731.html
また、[1]についても、おかしい。

現在、日本は、日本の再処理工場は茨城県東海村旧動燃東海事業所にあるが、実験的な工場であるため規模が小さく、年間200トンU程度の処理能力しかない。
現在青森県六ヶ所村に建設中の日本原燃の再処理工場は、年間800トンUの処理を見込んでいるが、溶接不良に起因する不具合・構造上の不具合によって試験計画が何度も延期されている。200512現在、劣化ウランを使用したウラン試験がほぼ終了しており、2006には実際の使用済み核燃料を使用したアクティブ試験が開始される見込みである。ガラス固化体を作るガラス溶融炉のある小部屋で3回にもわたって高濃度レベル廃液が漏れていた[1]
よって、日本で発生する使用済み核燃料の再処理はその大部分をフランスCOGEMA)やイギリスBNFL社)に委託している』状態である。(wikipediaより)

これでどうして問題がないと言えるのか。
しかも氏は、「最終処分場の場所は、平成20代に廃棄物について精密調査してある程度選定し、40年代には決定して建設工事に着手する計画になっている。」というのだ。

20年も先の事を言うのである。
それも「工事の着手の計画」にすぎない。
飯島氏は、「内閣参与」に地位にある。
このような要職にある識者の「論」とは到底思えない。

安倍首相はいかなる理由をもって飯島氏を内閣参与に任命したのか、疑われる。

この程度の知識で、「社会人に教えてやる」など言うのは、「おこがましい」にもほどがある、と思う。
また彼は、「原発ゼロ」を語ることが亡国につながる、という。
なぜそうなのかは、その記事を読んでも、はっきりとはしない。

たとえそうでも、何故語ること自体が「亡国につながるのか」を説明してはいない。
これは、かっては石原前都知事らが言った「黙れ」というに等しい。

このような論こそ、「特定秘密保持法」を強引に押し通した安倍政権に通じる論である、と思う。

たとえ素人でも、「語る」権利は、すべての人に等しくある。
それを「語るな」というのは、暴論である。

氏は内閣参与の地位にある。
そのような地位にある人が言うべき言葉ではない。

まして、上に述べた様な「幼稚に論を持って」社会人に教えてやるのだという。
片腹痛い、とはこの事である。

最後に、このような記事をのせた PRESIDENT Online の見識を疑う。
「注意書き」があるならまだしも、それがないということは、これが PRESIDENT Online の考えであるということにもなる、と思うのだがどうであろうか。