第二回目です。
まず、報告書です。以下のように述べます。『両国共に、日本の活動領域を十分に拡張させるより強健で共有した、また相互運用性のある情報・監視・偵察(ISR)能力と作戦を必要としている。在日米軍(USFJ)には日本の防衛に関して明確な役割が与えられるべきである。
作戦の遂行能力と今後起り得る在日米軍と自衛隊の合同機動部隊の軍事力を考慮して、米国は在日米軍により大きな責任と使命感を与えるべきである。・・・
相互運用性を高める1つの方法は、双方の防衛訓練の質を向上させることである。米国空軍、海軍は自衛隊と連携して民間空港を循環した訓練を毎年行うべきである。新たな訓練地域は潜在的な緊急事態をより広範に想定させ、両軍をより危険な状態に晒し、さらには沖縄の人々に対しての負担を共有する感覚をもたらすだろう。第二に、自衛隊と米軍は緊急事態への対応能力を向上させる、トモダチ作戦で学んだ事柄を試すべきである。第三に、陸上自衛隊は価値のある平和維持活動(PKO)や災害復興支援に携わる一方で、陸海空軍連携の拡大について検討すべきである。陸上自衛隊を敏捷で配備可能な軍隊に方向修正することは、将来の編成に向けて同盟をより有意義に整備させるだろう。第四に、米国と日本はグアムと北マリアナ諸島(CNMI)における新たな訓練領域を十分に活用すべきであり、それはオーストラリアのダーウィンにおける新たな共有設備についても同様である。共同の海上派遣軍事力は、日本、韓国、オーストラリア、カナダ、及びニュージーランドにとって中核的な焦点である。米軍との訓練、特に海軍との訓練が、より広範に相互運用性を拡大させるだろう。最後に、東京は双方とそれぞれの防衛上の秘密と秘密情報を保護する為に防衛省の法的能力を向上させるべきである。秘密保持の点からすれば、現在の法管理体制は米国標準と同等のレベルではない。政策と厳格な防衛訓練の組合せが、日本の初期の特殊作戦部隊(SOF)の能力を加速させ相互運用性を向上させるだろう。・・・』
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要点を取り出すと、以下のようになるだろう。
① 「米国空軍、海軍は自衛隊と連携して民間空港を循環した訓練を毎年行うべき」とする。
それには、多方面にわたる地域での戦闘訓練が必要、と言う。
そして、沖縄にさらなる負担を求めている。
② 次に、「自衛隊と米軍は緊急事態への対応能力を向上させる」ために、過去の経験を生かせと言う。
③ そして、自衛隊に「和維持活動(PKO)や災害復興支援」に当たるとともに、「陸海空軍連携の拡大」が必要であると説く。「陸上自衛隊を敏捷で配備可能な軍隊に方向修正」することが、「同盟をより有意義」にする道である、というのである。
④さらに、日本国内だけでなく、「グアムと北マリアナ諸島(CNMI)における新たな訓練領域を十分に活用すべき」である、とものべる。
⑤ 最後に、「東京は双方とそれぞれの防衛上の秘密と秘密情報を保護する為に防衛省の法的能力を向上させるべき」とダメを押す。
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では、日本国内の動きを見てみよう。
①に関しては、防衛相のサイトより、以下の記事を貼り付けておきます。http://www.mod.go.jp/j/press/news/2013/09/06d.html
「防衛省においては、本年10月上旬から中旬にかけて、滋賀県高島市に所在する陸上自衛隊あいば野演習場において、日米共同訓練を計画しております。本共同訓練は、共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を実動により訓練し、米軍との相互運用性の向上を図るものです。」
また、昨年暮れに実施された日米の4者会談では、次のような発表がありました。
・施設の共同使用
同盟の柔軟性及び強靱性を向上させ、日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。日本及び米国の施設及び区域の共同使用の実現における進展は、地元とのより堅固な関係を構築しつつ、同盟の抑止力を強化する。
・共同訓練・演習
自衛隊及び米軍の運用の実効性、相互運用性、即応性、機動性及び持続性を強化し及び向上し、並びに日米同盟の抑止力を強化するため、閣僚は、時宜を得た、かつ、効果的な二国間の訓練の拡大といった平時における二国間の防衛協力の進展を歓迎した。日本において、又は日本国外で行われた二国間及び多国間の訓練は、相互運用性を向上するとともに、侵略を抑止し、日本を防衛し、地域の平和と安全を維持するための両国の能力を向上させている。閣僚は、在沖縄米軍の沖縄県外の場所における訓練を継続するための重要な取組を認識した。
②の関しても、http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/js20131003_j.html
を貼り付けます。
先に引用した、昨年暮れに実施された、岸田外相、小野寺防衛大臣、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官の会談です。
日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表<仮訳>(2013/10/3)
閣僚は、地域の複雑な安全保障環境を背景として両国が共有する同盟に関する戦略的な構想を実現する上で、同盟が地域における平和と安全の礎であることを認めた。今後十年にわたり、同盟は、緊密な協力を通じ、また、両国が手を携えて機敏に緊急事態対応や危機管理を行うことを可能とする相互運用性及び柔軟性が強化された兵力態勢を通じ、引き続き安全保障上の課題に対処する意図を有する。閣僚は、平和と安全に対する持続する、及び新たに発生する様々な脅威や国際的な規範への挑戦に同盟が対処するため、引き続き十分な用意ができていなければならないことを確認した
④に関しては、次のような訓練計画が発表されています。
米軍再編に係る三沢飛行場からグアム等への訓練移転に関する訓練計画概要について
平成25年10月21日
防衛省
米軍再編に係る三沢飛行場からグアム等への訓練移転(単独訓練)に関する訓練計画概要について、以下のとおりとなりましたので、お知らせします。
本訓練移転は、平成23年1月及び10月の日米合同委員会合意に基づき、本来であれば、嘉手納飛行場で実施予定であった航空機による訓練を、グアム等へ移転することを計画するものであり、今回が11回目となります。
⑤に関して。
②と同じく、次のような発表がありました。
・共同の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動
閣僚は、両国の防衛当局間の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)作業部会の設置を歓迎し、同盟のより緊密な相互運用性及び自衛隊と米軍との間の情報共有を促進するというこの作業部会の任務を再確認した。閣僚は、平時及び緊急事態における二国間のISR活動に向けた更なる進展を歓迎した。
もちろん、最も重要な動きである、昨年暮れに成立した「特定秘密保護法」があります。
また、これに先立って、日本版「NSC」も創設された。それに伴って、国家安全保障局も開設されました。
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以上動きを見ると、アーミテージ報告書が言う内容とまったく同じである、と言っていいほどのものになっています。
(2014年1月21日)