昨年に出された「第3次アーミテージ報告書」というものがあります。
最近の安倍政権の動きを見ると、まるでこの報告書をなぞるかのような気がします。
この報告書を検討することは、昨年来の課題でした。
今回は、「防衛戦略:同盟の相互運用性に向かって」という章のみの検討にしておきます。
それでも、この章だけでも、全文は相当な分量です。
かなり長くなりますので、3回に分けて、掲載します。
まず、新たな役割と任務の見直しが強調されています。
①
『日本は能力形成や二国間及び多国間の対応を通して、これまで以上に防衛と軍事の外交手腕を発揮することができる。新たな役割と任務の見直しにあたっては、日本の防衛及び地域の緊急事態における米国との防衛を含めた日本の責任範囲を拡大すべきである。
最も喫緊の挑戦は日本自身の隣国だ。中国は、日本への度重なる周航を含む、東シナ海の大半、実質的な全南シナ海、人民解放軍と海軍の運用速度の劇的な増加を、主張或いは実践しており、これらは北京による「第一列島チェーン(日本、台湾、フィリピン)」、もしくは北京が考える「近海」全体に対しての、より強大で戦略的な影響を与える意志を示している。
これらの種の接近阻止・領域拒否(A2AD)という挑戦に対し、米国は空海戦闘や統合作戦アクセス構想(JOAC)などの新たな作戦構想への取組みを開始している。日本は「ダイナミック防衛」の様な類似構想への取組みを開始している。米国海軍と海上自衛隊が歴史的に2国間の相互運用性を牽引してきた一方で、新たな環境はより強大な連帯と両国における部局横断的な相互運用性及び両国間の相互運用性を明確に必要としている。
この挑戦は両国のRMC会談の中核であり、日本の防衛省及び外務省と共に米国国防省の指導により十分に統合され前進するものでなければならない。予算の制約がある中で、RMCは断片的に処理されたり、下級議員によって処理されたりしてはならない。・・・』
『同盟防衛協力の潜在力が増加した2つの追加地域は、ペルシャ湾での掃海作業と南シナ海の共同監視である。ペルシャ湾は極めて重要なグローバル貿易とエネルギー輸送の中核である。ホルムズ海峡を閉鎖するというイランの言葉巧みな意思表示に対して、日本はこの国際的に違法な動きに対抗する為に単独で掃海艇をこの地域に派遣すべきである。南シナ海における平和と安定は、特に日本にとって大変重要な、もう一つの極めて重要な同盟利害である。重要なエネルギー資源を含む、日本へ供給される88%のものが南シナ海を経て輸送されるのであるから、安定と航行の自由を確保する為に米国と協力して監視を増強することは日本が関心を示すところである。・・・』
以上ですが、これと日本の動きを重ねてみます。
① 『2013年4月23日、自民党が、防衛計画の大綱の叩き台として作成した「新防衛大綱策定にかかわる提言」では、自衛隊に海兵隊のような機能を持たせるとしている[24]。防衛省は離島奪還部隊の創設を検討しており、小野寺五典防衛大臣は2013年6月15日、「離島防衛のために水陸両用部隊が必要だ。装備や部隊編成をもっと拡大しないといけない」と述べている[25]。』(wikipediaより)
②【スクープ連続写真】オスプレイが海上自衛隊艦上で“トランスフォーム”!
『今年6月、米カリフォルニア州で実施された米軍と自衛隊の共同演習「ドーン・ブリッツ」(日本語名:夜明けの電撃戦)。「敵国に占拠された離島を奪還する」という“リアルすぎる設定”に中国政府が反発し、・・・海上自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」で、米海兵隊所属の「MV-22オスプレイ」が運用可能であると実証されたことだ。』
③ 自衛隊の海賊対策派遣、1年延長へ ソマリア沖
『安倍内閣は9日の閣議で、23日に活動期限を迎える海上自衛隊のソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動を1年間延長することを決めた。海賊対処法に基づいて2009年から護衛艦2隻とP3C哨戒機2機の派遣が続いており、今回の延長後は、このうち護衛艦1隻が米国など多国籍で構成される連合部隊に参加する方針。これまでは2隻が民間船舶を前後で挟んで航行する形で護衛してきた。』(朝日2013/7/9)
④ オスプレイ調査費計上 不安よそに「15年度導入」 東京新聞 2013/8/31
『防衛省は三十日、二〇一四年度予算の概算要求に、米軍の新型輸送機オスプレイを陸上自衛隊に導入するための調査費一億円を計上し、導入目標を一五年度と明記した。二十六日に米国で着陸に失敗し、安全性が疑問視されるにもかかわらず、十月には滋賀県でオスプレイを使った日米共同訓練を予定するなど、国内での利用を強引に進めようとしている。・・ 十月には滋賀県高島市の陸自饗庭野(あいばの)演習場や、高知県内での日米共同訓練で、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)のオスプレイを活用する予定。防衛省幹部は「飛ぶことで安全性を理解してもらいたい」と話す。』
⑤ "防空識別圏"自衛隊機が飛行 中国からの反応なし(13/11/28
また、新たに二つの法律が可決成立しています。
一つは、「日本戦警備特措法」です。
『「日本船にも武装警備員OK 海賊対策で特措法成立、民間人武装を初規定
アフリカ・ソマリア沖などの海賊に対応するため、日本船籍の船舶に小銃で武装した民間武装警備員の乗船を認める日本船警備特措法が13日、参院本会議で可決、成立・・』
(産経ニュース 2013/11/13)
もう一つは、「自衛隊法」の改正です。
『改正自衛隊法が成立 在外邦人保護で陸上輸送可能に
緊急時に在外邦人を救助するため、自衛隊による陸上輸送を可能にする改正自衛隊法が15日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で成立した。邦人10人が犠牲となった今年1月のアルジェリア人質事件を踏まえた改正で、航空機と船舶に限定されていた輸送手段に車両を加え、空港や港湾から遠い内陸部にも自衛隊部隊が救援に向かえるようにする。』(産経ニュース 2013/11/15)
(この稿、途中です)
(2014年1月16日)