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東京都都知事選も今日で、1週間が過ぎました。
マスコミ各社の世論調査なるものが、相次いで発表されています。
例えば、1/25には、早速毎日新聞が、「世論調査」なるものを掲載しています。
『2月9日投開票の東京都知事選について、毎日新聞は23、24の両日、都内の有権者を対象に電話による世論調査を実施し、取材結果も加えて序盤情勢を分析した。元厚生労働相の舛添要一氏(65)が先行し、元首相の細川護熙(もりひろ)氏(76)、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(67)が追う展開。元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)も支持拡大を図っている。ただ4割以上が投票先を決めておらず、今後情勢が変わる可能性がある。
舛添氏は高い知名度で幅広い年代から支持を集めており、特に50代以上で強さを見せている。支援する自民、公明の支持層で人気が高く、維新支持層にも浸透している』
年、さらには、以下のように続ける。
『序盤情勢では先行している元厚生労働相の舛添要一氏(65)だが、脱原発などの国政課題が争点になるのを「納得できる」と回答した人に限ると、元首相の細川護熙(もりひろ)氏(76)への支持が3分の1以上に達し、約2割の舛添氏を上回った。「原発即時ゼロ」を訴える細川氏と、再稼働の容認も示唆する舛添氏の政策の違いが、エネルギー政策に関心が高い層の支持を分けた形だ。ただし「どちらかといえば納得できる」と答えた層では、舛添氏への支持が3割以上で最も多くなる』
としている。
(なお、この調査は、共同通信、産経新聞、フジテレビの4社が共同で行ったものとなっている。)
ところで、公職選挙法は、「人気投票の公表」を禁じている。
以下が、その条文である。
『(人気投票の公表の禁止)
第百三十八条の三 何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない』
この条文を素直に読めば、新聞社やテレビ局などのマスコミが、選挙中に「世論調査」なるものを発表することは、「公職選挙法に違反している」ことは明白である。
上に引用した記事も明らかに「人気投票の結果の公表」に当たる。
当たらないというのなら、その理由を説明してほしい。
私は「正当な理由」など存在しないと思う。
たとえマスコミに「言論の自由」があろうとも、「法に違反する行為」は許されない。
「いや、それは分っているが他の会社もするからわが社もやる」のだという言い訳も、通用しない。
特に大手と言われるマスコミ各社が、世論調査を発表することは、その影響が大きい。
かりにも、世論調査を発表することで、有権者を誘導したりすることは許されない。
「そんな意図はない」と言う反論があっても、それは言い訳にすぎない事である。
「有権者が望んでいるから」という論理も、正当化されるものではない。
今、国政選挙で「一票の格差」ということで、多くの裁判が起こされ、「違憲である」という裁判所の判決も、多く出ている。
選挙は「だれが当選するか」ということよりも先に、「公正に行なわれた」かということが重要である、と考える。
公正におこなわれてこそ、当選者も胸を張って、政治が出来る、と思うのである。
法律で許された範囲内で、選挙の放送や記事を書くことはいいだろう。
だがしかし、「世論調査を選挙中に公表」することは、これまでも選挙の度にあたりまえのようになされてきているが、この辺でやめるべきである。
マスコミやテレビは、政治家や有名人などの不正には、「厳しい」。
別にそれは悪い事ではない。
であるとすれば、マスコミ「自身に対しても」厳しくあるべきではなかろうか。
そうであってこそ、国民からの信頼を得られることが出来る。
したがって、「言論の自由」が守られる結果となろう。
「世論調査を選挙中に公表すること」は、どう言いつくろってみようと「法に違反した行為であり」許されることではない、と思う。
(一部加筆しました。 2014/1/27 )
【尚、次のような条文も存在します。
この条文では、わざわざ、第百三十八条の三の規定について、重ねて守ることを規定しています。
第百四十八条 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない』
あるサイトを見ていたら、この事について触れられていたので、条文に当たってみました。
やはり、選挙中の世論調査の公表をマスコミが行うことは、違法です。
この条文の「精神」を考慮すれば、なおの事、マスコミは自重すべきです。】
(再掲 2014/1/28)