新たに、『 紙 の世界史-歴史に突き動かされた技術ー 』の読書メモを始めました。
以下に目次を掲げておきます。
-目次ー
序章 テクノロジーの歴史から学ぶほんとうのこと
第1章 記録するという人間だけの特質
第2章 中国の書字発達と発見
第3章 イスラム世界で開花した写本
第4章 美しい紙の都市ハティバ
第5章 ふたつのフェルトに挟まれたヨーロッパ
第6章 言葉を量産する技術
第7章 藝術における衝撃
第8章 マインツの外から
第9章 テノチティトランと青い目の悪魔
第10章 印刷と宗教改革
第11章 レンブラントの発見
第12章 後れをとったイングランド
第13章 紙と独立運動
第14章 ディドロの約束
第15第 スズメバチの革新
第16章 多様化する使用法
第17章 テクノロジーの斜陽
第18章 アジアへの回帰
終章 変化し続ける世界
***
著者と訳者、刊行元、年月日は、つぎの通りです。
・マーク・カーランスキー著
・川福智子=訳
・徳間書店 2016年
***
ここより、メモに入ります。
★ 8~9(数字は本のぺージを示しています。以下同様。)
・紙のまえにはおびただしい数の発明
↓
最初に生まれたのは、話し言葉
↓
線画、絵文字 ・・・ 文字体系の考案
↓
書字
↓
紙の発明
↓
印刷
↓
可動活字
↓
タイプライター
↓
機械式プリンター
↓
電子式ワープロセッサ-
↓
電子プリンター 、などである。
必要が生じると、解決法が見いだされる。(需要が供給を生む=投稿者)
あらゆる発想は次の必要を生む。
・紙の歴史を学ぶということは、この場合、話し言葉や書き言葉のような最初の発明は、人間が製造した物理的なものではないので、従来の意味合いでの「テクノロジー」とはみなされない。
だが、社会や歴史における機能形態や影響力はテクノロジーと似ており、いうなれば初代(第一世代?)のテクノロジーである。人間が話すという行為は最後に紙という手押し車につながる車輪だった。
★9 ・紙の歴史を学ぶといいうことは歴史上の数々の誤解を白日のもとにさらすことでもある。
それは、「テクノロジーが社会を変える」ということを意味するが、
これは、実は「全く逆で、社会のほうが、社会のなかで起こる変化に対応するためにテクノロジーを発達させている」
・ー220年ごろ、中国の始皇帝に仕えてい活躍した蒙恬(もうてん)は、駱駝の毛から筆を作った。
(でも)彼に触発された中国の人々が突如として書画を始めたわけでも、書道が考案されたわけでもない。
中国の社会はすでに書記システムを確立していたが、より多くの文書を作成し、より意匠を凝らした文字を書きたいという喫緊の需要があり、それまで使ってきた、棒切れに墨をひたした道具では、その需要を満たせなかった。
蒙括は文書と署の両方をより速く、より上質に仕上げる事の出来る道具を見いだした」のだった。
・建築、ルネサンス、産業革命。そのいずれも社会がそれを必要とする地点に到達したから生まれたのだ。このことはすべてのテクノロジーにあてはまる。紙の場合はとくにこのことがはっきりしている。
★10~11 ・官僚制を敷いていた中国で紙の使用がひろまってから5世紀のち、」朝鮮半島の仏教僧も紙の必要に迫られていた。中国の製紙技術を取り入れた彼らは、布教のために日本にも伝えた。(赤字は、強調のため、投稿者が変えたもの)
さらに数世紀経つと数学、天文学、会計学、建築に通ずるアラブ人も紙の必要を感じて製紙を始め、中東、北アフリカ、スペインのいたるところで紙を使いだした。
・ヨーロッパ人は、中国人が紙を発明してから千年以上もいっさい紙をつかっていなかった。とはいえ、その存在は知っていた。そればかりかアラブ人は長年にわたって、ヨーロッパ人に紙を売ろうとしていた。
にもかかわらず、獣皮を材料とする羊皮紙を使っていたヨーロッパ人が、作るのに時間も費用もかかりすぎる羊皮紙では急速に高まる需要に対応できないと悟るのは、アラブ式の数学や科学を学びだし、読み書きの能力が浸透しはじめてからのことである。
知的探求と政治の官僚主義の隆盛は知識の普及や交易の拡大とあいまって製紙という技術を生んだ。
紙の発明は、印刷のように、様々な社会が行き着く明白なつぎの段階ではなかった。ならば紙の存在を想像した人間がひとりもいなかったとしたらどうだろう。その場合はべつのものが発明されていただろう。
紙に匹敵する制度の高い書写材料が社会がそれを求めていたのだから。
・テクノロジーの歴史から学ぶべき重要なこと。誤った推論がなされていることは、他にもある。
それは、「新しいテクノロジーは、古いテクノロジーを排除する」というものである。
これは誤った推論である。
パピルスは紙が導入されたからも地中海沿岸を中心とする地域で何世紀も使われつづけた。羊皮紙いまだに使われている。ガスや電気ストーブが発明されてからも、暖炉がなくなったことはなかった。
印刷が出来るようになっても、人はペンで書くことをやめかった。テレビはラジオを駆逐しなかった。電卓がそろばんの使用を終わらせることができなかった。
★ 12・18世紀~19世紀初頭のラダイト運動(機械打ちこわし運動)は、印刷産業から始まった。
これがきっかけとなって、「機械の打ちこわし」を死罪とする、機械破壊禁止法は、1812年に制定された。(なお、機械の破壊と工場建築物の破壊に対する最初の法律は、イギリスで1769年に制定=投稿者)
★13・印刷がプロテスタントの宗教改革を生みだしたのではない。改革の理念としてそれを広めようとする意志が印刷機を作った。
中国の官僚も朝鮮の仏教僧も紙の登場によって生みだされたのではない。彼らの目的のために紙が作られたのである。
★14・社会の方向を変えることを意図したテクノロジーはたいてい失敗する。テクノロジー企業は膨大な時間と金を市場調査につぎ込んで、社会がすでに目指している場所がどこなのかを見極めようとする。その後に、新製品の製造に取りかかる。
考案者をめったに思い出さず、そのアイデアを商業的に採算に合うようにした実用主義を偶像化するのが現代社会の傾向である。
わたしたちはもはやコンピュータの基本的概念を考えついた人々を忘れてしまい、コンピュータで大金持ちになった人々を称賛している。
※ここまでは、≪序章 テクノロジーの歴史から学ぶほんとうのこと≫からの引用です。
(208年10月12日)
以下に目次を掲げておきます。
-目次ー
序章 テクノロジーの歴史から学ぶほんとうのこと
第1章 記録するという人間だけの特質
第2章 中国の書字発達と発見
第3章 イスラム世界で開花した写本
第4章 美しい紙の都市ハティバ
第5章 ふたつのフェルトに挟まれたヨーロッパ
第6章 言葉を量産する技術
第7章 藝術における衝撃
第8章 マインツの外から
第9章 テノチティトランと青い目の悪魔
第10章 印刷と宗教改革
第11章 レンブラントの発見
第12章 後れをとったイングランド
第13章 紙と独立運動
第14章 ディドロの約束
第15第 スズメバチの革新
第16章 多様化する使用法
第17章 テクノロジーの斜陽
第18章 アジアへの回帰
終章 変化し続ける世界
***
著者と訳者、刊行元、年月日は、つぎの通りです。
・マーク・カーランスキー著
・川福智子=訳
・徳間書店 2016年
***
ここより、メモに入ります。
★ 8~9(数字は本のぺージを示しています。以下同様。)
・紙のまえにはおびただしい数の発明
↓
最初に生まれたのは、話し言葉
↓
線画、絵文字 ・・・ 文字体系の考案
↓
書字
↓
紙の発明
↓
印刷
↓
可動活字
↓
タイプライター
↓
機械式プリンター
↓
電子式ワープロセッサ-
↓
電子プリンター 、などである。
必要が生じると、解決法が見いだされる。(需要が供給を生む=投稿者)
あらゆる発想は次の必要を生む。
・紙の歴史を学ぶということは、この場合、話し言葉や書き言葉のような最初の発明は、人間が製造した物理的なものではないので、従来の意味合いでの「テクノロジー」とはみなされない。
だが、社会や歴史における機能形態や影響力はテクノロジーと似ており、いうなれば初代(第一世代?)のテクノロジーである。人間が話すという行為は最後に紙という手押し車につながる車輪だった。
★9 ・紙の歴史を学ぶといいうことは歴史上の数々の誤解を白日のもとにさらすことでもある。
それは、「テクノロジーが社会を変える」ということを意味するが、
これは、実は「全く逆で、社会のほうが、社会のなかで起こる変化に対応するためにテクノロジーを発達させている」
・ー220年ごろ、中国の始皇帝に仕えてい活躍した蒙恬(もうてん)は、駱駝の毛から筆を作った。
(でも)彼に触発された中国の人々が突如として書画を始めたわけでも、書道が考案されたわけでもない。
中国の社会はすでに書記システムを確立していたが、より多くの文書を作成し、より意匠を凝らした文字を書きたいという喫緊の需要があり、それまで使ってきた、棒切れに墨をひたした道具では、その需要を満たせなかった。
蒙括は文書と署の両方をより速く、より上質に仕上げる事の出来る道具を見いだした」のだった。
・建築、ルネサンス、産業革命。そのいずれも社会がそれを必要とする地点に到達したから生まれたのだ。このことはすべてのテクノロジーにあてはまる。紙の場合はとくにこのことがはっきりしている。
★10~11 ・官僚制を敷いていた中国で紙の使用がひろまってから5世紀のち、」朝鮮半島の仏教僧も紙の必要に迫られていた。中国の製紙技術を取り入れた彼らは、布教のために日本にも伝えた。(赤字は、強調のため、投稿者が変えたもの)
さらに数世紀経つと数学、天文学、会計学、建築に通ずるアラブ人も紙の必要を感じて製紙を始め、中東、北アフリカ、スペインのいたるところで紙を使いだした。
・ヨーロッパ人は、中国人が紙を発明してから千年以上もいっさい紙をつかっていなかった。とはいえ、その存在は知っていた。そればかりかアラブ人は長年にわたって、ヨーロッパ人に紙を売ろうとしていた。
にもかかわらず、獣皮を材料とする羊皮紙を使っていたヨーロッパ人が、作るのに時間も費用もかかりすぎる羊皮紙では急速に高まる需要に対応できないと悟るのは、アラブ式の数学や科学を学びだし、読み書きの能力が浸透しはじめてからのことである。
知的探求と政治の官僚主義の隆盛は知識の普及や交易の拡大とあいまって製紙という技術を生んだ。
紙の発明は、印刷のように、様々な社会が行き着く明白なつぎの段階ではなかった。ならば紙の存在を想像した人間がひとりもいなかったとしたらどうだろう。その場合はべつのものが発明されていただろう。
紙に匹敵する制度の高い書写材料が社会がそれを求めていたのだから。
・テクノロジーの歴史から学ぶべき重要なこと。誤った推論がなされていることは、他にもある。
それは、「新しいテクノロジーは、古いテクノロジーを排除する」というものである。
これは誤った推論である。
パピルスは紙が導入されたからも地中海沿岸を中心とする地域で何世紀も使われつづけた。羊皮紙いまだに使われている。ガスや電気ストーブが発明されてからも、暖炉がなくなったことはなかった。
印刷が出来るようになっても、人はペンで書くことをやめかった。テレビはラジオを駆逐しなかった。電卓がそろばんの使用を終わらせることができなかった。
★ 12・18世紀~19世紀初頭のラダイト運動(機械打ちこわし運動)は、印刷産業から始まった。
これがきっかけとなって、「機械の打ちこわし」を死罪とする、機械破壊禁止法は、1812年に制定された。(なお、機械の破壊と工場建築物の破壊に対する最初の法律は、イギリスで1769年に制定=投稿者)
★13・印刷がプロテスタントの宗教改革を生みだしたのではない。改革の理念としてそれを広めようとする意志が印刷機を作った。
中国の官僚も朝鮮の仏教僧も紙の登場によって生みだされたのではない。彼らの目的のために紙が作られたのである。
★14・社会の方向を変えることを意図したテクノロジーはたいてい失敗する。テクノロジー企業は膨大な時間と金を市場調査につぎ込んで、社会がすでに目指している場所がどこなのかを見極めようとする。その後に、新製品の製造に取りかかる。
考案者をめったに思い出さず、そのアイデアを商業的に採算に合うようにした実用主義を偶像化するのが現代社会の傾向である。
わたしたちはもはやコンピュータの基本的概念を考えついた人々を忘れてしまい、コンピュータで大金持ちになった人々を称賛している。
※ここまでは、≪序章 テクノロジーの歴史から学ぶほんとうのこと≫からの引用です。
(208年10月12日)
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