2018年10月10日水曜日

「ブッダの感興のことば」第8章 ことば Ⅱ=真実を語れ

今回は、<ブッダの感興のことば、第8章 ことば Ⅱ>です。この第8章において、「ことば」について説いています。善い言葉を口にせよ。
悪い言葉を口に出すな。真実を語れ、虚偽を語るな。このように言っています。


★  真実を語れ、虚偽を語るな

善いことばを口にせよ。
悪いことばを口に出すな。
善いことばを口に出したほうが良い。
悪い言葉を口に出すと、悩みをもたらす。(8-8)

すでに(他人が)悪い言葉を発したならば、(言い返すために)それをさらに口にするな。(同じような悪口を)口にするなら悩まされる。
聖者はこのような悪い言葉を発する事はない。
愚かな者どもが(悪いことばを)発するからである。(8-9)

善い教えは最上のものである、と聖者は説く。(これが第一である)
理法を語れ。理法にかなわぬことを語るな。これが第二である。
好ましいことばを語れ。このましからぬことばを語るな。これが第二である。
真実を語れ、虚偽を語るな。これが第三である。(8-11)

★ 「悪い言葉を口に出すと、自分自身を傷つける

人間だけが言葉で物事を考え、言葉を発する。これは、人間だけに与えられた特権である。であるならば、われわれは、出来るだけ、それを善用することが人間としての義務である。

ゆえに、善いことばを口に出したほうが良いし、悪い言葉や他人の悪口を口にすべきではないのは、自明の理である。

また、「悪い言葉を口に出すと、悩みをもたらす」と、ブッダが説くように、悪いことばは、誰よりもまず、自分自身を傷つける基になる。

このことについて、哲人の中村天風は、次のように言う。

いったいに、他人の中傷や悪口をあえてなす人というのは、人間として大切に考えるべき自己批判ということを、とかく厳正にしないで、むしろないがしろにするからである。
 自己批判を厳正にしないと、どういても他人の批判にのみその注意がいたずらに注がれることになりがちなものである。
いま一つは、他人の言動のみを批判することに汲々として、自己批判を厳正になさぬ人の多くは、おおむねは、人の世に現存する縁という重大なことを、存外軽く考えている傾向がある。縁というものを尊重して考える人は、みだりに人を憎んだり、中傷したりしない。
・・・ましてや、悪口や、中傷や、憎悪や、怨恨などという価値なきことを、絶対にその心にいだかない。(中村天風『叡智のひびき』150~153貢)

★ 足下を観よ

「殷鑑あえてこれを遠きに求るにおよばず」なのである。

(2018年10月10日)

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