2015年7月9日木曜日

憲法さえ無視する安倍政権が、「三原則」を守るのか

このまま、決まってしまうのか。

そうなった時、日本国憲法さえ無視する安倍政権が、「三原則」を守るのか。
大いに疑問だ。
また、「法案」が成立し、「憲法の重し」がとれたあとにおいて、日本が「独自に判断する」ということが、「米国」に通用するのか。

それでは、「軍事同盟を組む」意味がない、といわれるのではないか。


最近、報じられた、安倍政権や、自民党の中枢の発言を伝える記事を、拾ってみた。
そのうえで、安倍政権の今後を、予想してみる。

◆  安倍政権にのし掛かる「米国議会」での約束

★7月4日 高村副総裁
自民党の高村正彦副総裁は4日夜のNHK番組で、集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法案について、国民の理解が十分得られなくても採決に踏み切る考えを示唆した。国連平和維持活動(PKO)協力法や周辺事態法の成立時など、安全保障政策をめぐる過去の事例に触れ「国民の理解がしっかり得られてできたことはない」と述べた。
民主党の岡田克也代表は反発した。
 高村氏は、PKO協力法に関し「3国会を経たが、それで理解が進んだかというとそうではない。あのときも憲法学者の8割が違憲だと言っていた」と指摘。同時に「いつまでも延ばせばいいという話ではない」と述べた。」(47ニュース)
★7月7日 自民党の谷垣禎一幹事長  谷垣幹事長
自民党の谷垣禎一幹事長佐藤勉国対委員長がそろって、安保法案について「そろそろ出口をさぐってもいいのでは」と衆院本会議での採決のタイミングを探り、衆院通過、参議院送付へ向け、考えていく時期にきているとの認識を示した。」(Economic News)

★7月9日 安倍総理大臣
「(安保関連法案をめぐり)解散総選挙を行うことは私は全く考えておりません。だんだん議論を進めていくことができれば、理解は少しずつは増えていくと思いますので、丁寧に、なるべく分かりやすく説明をしていきたいと思っています」(テレ朝)
周りの発言に比べて、安倍首相には、「余裕がある」かのように見える。
ところで、 最近、よく目にする言葉の一つに、「60日ルール」というのが、ある。


◆ 安倍首相に「余裕がある」のは、「60日ルール」があるから

それは、日本国憲法の59条にある。
「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。(①)
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。(②)」(番号は、投稿者)

つまり、この規定から、②⇒① の手続きを取れば、法案が、可決成立する。

安倍首相は、今月の15日に安保法案を採決し、参議院の送りたい考え、といわれる。
仮に、7月20日に参議院に送ったとすれば、8月の後半には、「60日」の期限が来る。(「お盆休み」を勘定に入れるとしても。)

安倍首相が、米国の議会演説において期限を切り、「夏までに成立させる」といった約束には、少し遅れるが、「ギリギリ」セーフというところだろう。

上に「拾った」安倍政権の発言の裏には、この「約束」が、「重し(おもし)」として、大きな影響を与えている。
(それは別にしても)とにかく、安倍首相の頭の中には、「集団的自衛権の行使」が出来るようにする。そのことしか、ないのだろう。

安保法案についての細かいことは、「どうでもいいこと」なのであろう。
いったん、国会を通過してしまえば、「あとは、どうにでもなる」という、考えがあるのではないか。

自衛隊が、米軍と一体化して、作戦行動をとる「準備」は、すでに、「ガイドライン」の改定で、終わっている。

今回の安保法案は、たんに、それを跡付けたに過ぎない。だから、安倍首相が、米国での議会の演説後の「法案提出」となった。
そういうことであろう。


◆ この法案が、成立すれば、「米国のいうがまま」に

安倍首相は、内閣が「独走」することはありえない。
国会の承認を取る、というが、それも「怪しい」ものだ。(注①)

「日本国憲法」さえ、踏みにじって、「集団的自衛権の行使の容認」に向け、なりふりかまわずに、突き進む安倍首相である。
「国会の権威」を重視する、などとは、到底思えない。

まして、現況では、与党は、国会で3分の2以上を占める。
それに、維新の党が(現在の状況を勘案すると)、「加わる」かも知れない。

そうなれば、仮に、事前承認の審議が行われたところで、安倍首相の「意思」が通ることは、間違いがない。
こういっても、よかろう。

だとすると、「三要件」が、どこまで、歯止めとして働くかは、はなはだ「心もとないもの」と、言わねばなるまい。
まして、その判断をするのが、「内閣」であってみれば、これは、「秘密保護規定」にあたる。
そう言われてしまえば、国会といえども、「手が出せない」のではないか。(注②)

また、これまでなら、「日本国憲法」の規定がある。
だから、「自衛隊は出せない」と米国に言えた。

そのような「憲法」を「押し付けた」のは、米国ではないか。
こうも、言えた。

ところが、この法案が、成立すれば、その言い訳は、通用しなくなる。
安倍首相や、中谷大臣は、「あくまでも、日本が独自に判断をすること」である、と国会で答弁をする。

だが、果たして、日本が独自に判断をして、その判断を「米国」側に、「納得させること」が出来るのか。

かりに、そのような「要求」が通るとしたら、「普天間の基地」問題は、「とっくに」解決をしていたのではないか。
そもそも、このような「法案をだす」必要が、なかったのではないか。


それとも、「米国からの要求」は「見せかけ」で、本当は安倍首相自身が、望んだことなのか。
安倍首相が、逆に「米国」を利用したのか。

安倍首相の「日本を取り戻す」というのは、「見せかけではなく、本気」のことなのか。
「日本軍」を創設し、「在日米軍」を追い払う、「心づもり」なのか。

仮にそう出来たとして、そのことで、安倍首相は、何を実現したいのか。
その行き着く先には、一体何が待っている、というのか。

(注①)
(党首討論でのやり取り。6/17)

岡田克也民主党代表 
 朝鮮半島有事で、どういう時に存立危機事態と認定するのか。

 首相:
 朝鮮半島有事では米軍の艦船が対応に当たる。某国が、日本に対してミサイル攻撃をするかもしれないという状況が発生し、米軍の艦船が攻撃されれば、武力行使の新3要件に当たる可能性がある。しかし、具体的なケースを私が述べると、政策的な中身をさらすことになる。いちいち全てを述べるような海外のリーダーはほとんどいない。

(注②)
(党首討論でのやり取り。6/17)

 岡田氏:
 時の内閣に武力行使、憲法違反の判断を丸投げしている。そんな国はどこにもなく、立憲国家にならない。だから(安保関連法案に)反対だ。

 首相:
 平和安全法制は、1972年の政府見解の基本的な論理の上に立って作り上げられた。この論理は59年の砂川事件の(最高裁)判決を解釈した。判決にある「必要な自衛の措置」にはどこまで含まれるのか、国際状況を見て常に判断しないといけない。国際状況に目をつむって、国民の命を守る責任を放棄してはならない。(法案の)正当性、合法性には完全に確信を持っている。

 岡田氏
 存立危機事態は抽象的だ。もっと法律で明確にできないのか。とても憲法に合致しているとは言えない。憲法違反だ。周辺事態は個別的自衛権で十分対応できる。集団的自衛権はいらない。


(関連サイト案内)
平和・自立・調和の日本をつくるために【52】=大森 実

 
(2015年7月9日)

0 件のコメント: