2015年7月6日月曜日

集団的自衛権と公明党 「平和の党」から、「戦争の党」へ

安保法案の審議が、新しい段階を、迎えつつある。ここで立ち止まって、何故、この法案を出すことが出来たのか、という事を考えてみた。
そこには、「平和の党」から、「戦争の党」へ変身した、公明党の存在がある。
そこで、「平和の党」という看板で語られる、
この党が、どう変わってきたのかを、跡付けてみた。

題して、”集団的自衛権と公明党 「平和の党」から、「戦争の党」へ”とした。

「集団的自衛権の行使容認」を、キーワードにして、検証してみた。
以下、公明党のホームページのニュースを中心に、取り上げた。


1) 集団的自衛権を認めるかと聞かれれば、「断固反対」

2012年7月11日 
公明ニュースの記事は、山口代表が、記者会見でのべたことを、次のように報じた。

「公明党の山口那津男代表は10日の記者会見で、政府の国家戦略会議の分科会が集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しを求める報告書を提出したことに関して、集団的自衛権の行使は認めるべきではないというのが、政府の一貫した憲法解釈であり、今、にわかに変える必要はない。(政府内で)浅薄な議論が繰り返されるようであれば、われわれは厳しく対応したい』と述べた。」
2012年11月23日
公明ニュースが、―やや込み入って言い方であるが―、集団的自衛権の行使は、認めない、という山口代表の見解を載せた。
「自民党が政権公約に集団的自衛権の行使を可能にすることを掲げたことに関しては、「必要最小限の武力行使しか認めないという憲法の理解のもとで、(集団的自衛権の行使を)認めることはできないという政府の見解は妥当だ」と述べた。」
2014年4月26日 
北川一雄副代表の見解を載せた。

政府だけの判断で一方的に解釈変更をすることは、国会論戦を軽視する、ものである。
砂川事件の最高裁判決は、集団的自衛権の行使を根拠づける内容の判決ではない、と明確に否定した。
「一方で、政府の憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を認めようとする意見もあります。しかし、政府の憲法解釈は国会質疑の中で示され、固められてきた経緯があります。政府だけの判断で一方的に解釈変更をすることは、これまでの国会論戦を軽視することになりかねません。憲法解釈の変更には慎重であるべきで、公明党は、これまでの政府解釈を尊重する必要があると考えています。
最近、1959年の砂川事件の最高裁判決を根拠に、『必要最小限度の範囲内であれば集団的自衛権の行使も可能』との主張があります。しかし、この判決は「自衛隊や米軍駐留が憲法違反ではないか」が問われた時代の判決で、集団的自衛権の行使を根拠づける内容の判決ではありません。」

2) 揺らぐ見解

その後、「集団的自衛権を認めるかと聞かれれば、断固反対」の決意は、徐々に、変わってくる。

2014年6月26日
 NHKの番組で、山口代表が、「一部、限定的に容認」の考えを、初めて表明した。

個別的自衛権に匹敵するような集団的自衛権であれば一部、限定的に容認して国民の権利を守り、国の存立を全うすることは許される余地がある」と述べ、容認する考えを示した。」
2014年6月29日
公明党、和歌山県本部の時局講演会では、以下のように述べている。
「昨年の参院選で、私は集団的自衛権を認めるかと聞かれ、『断固反対』と述べた。専守防衛のために自衛隊があるのだから、いくら関係が深いといっても、米国と一緒に海外に行って他国と戦うことを含む集団的自衛権を丸ごと認めるのは断固反対だという趣旨だ。
・・・そこでは、自衛のために武力を使うことは、個別的であれ集団的であれ、国際法上禁じられていないから集団的自衛権の行使を認めるべきとする考え方について、政府が長年とってきた考え方と論理的整合性がないから「採用しない」とした。
集団的自衛権は丸ごと認めないということだ。しかし日本の安全に重大な影響を与えるような場合は限定的に認める余地があるのではないかとして、政府も検討し、与党にも議論してもらおうという問題提起をした。」
そして、はやくも、2014年7月1日には、「集団的自衛権の行使を認めた閣議決定」が、出された。


3) 「コペルニクス的転回」をした、公明党の見解

北川副代表は、国連憲章第51条と日本国憲法を根拠に、憲法上、集団的自衛権は、必要最小限度を超えるため行使できない、との見解であった。

集団的自衛権とは、自国と密接な関係がある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず、実力で阻止する権利です。いわば「他国防衛の権利」です。これに対し、自国に対する武力攻撃を自力で排除する権利が個別的自衛権で「自国防衛の権利」です。
集団的、個別的自衛権を初めて明文で認めたのは国連憲章第51条です。日本も国連加盟国ですから、国際法上、集団的、個別的自衛権を保有しています。
しかし、日本国憲法は「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定めた第9条があるため、自衛権行使は自国防衛のための必要最小限度の範囲でしかできないと政府は解釈してきました。そのため、憲法上、集団的自衛権は必要最小限度を超えるため行使できないとの憲法解釈を固め、すでに40年以上も変えていません。」
以上が、北川氏が、2014年4月26日の述べていた見解だ。

それが、1年後には、次のような見解に変わる。
「私としては本当に詰めた安保法制議論をさせていただいた。決して憲法9条に違反するとは思っていない。・・・
 最善の法整備ができたと思っている。しかし、自衛隊の海外派遣には原理原則がある。原理には当然、憲法9条があり、これに違反をしないこと。要するに、「武力の威嚇または武力の行使をしてはならない」という9条規定に違反しないのが大前提。その上で、「3つの原則」を申し上げた。」
2015年6月19日には、見事に、180度回転する。

これは、「連立離脱」はしない。
「与党として、安倍政権とともに行動する」という結論ありき、の方針から導き出された、ことだろう。

さらに、インタビューでは、次のようにも述べた。
例えば1992年に、初めて自衛隊を海外派遣するため国連平和維持活動(PKO)協力法が成立した。この時、国会は衆・参「ねじれ」状態で、自民党は賛成、社会党、共産党は反対で、野党だったわが党の判断で決まる状況だった。そこで、「PKO5原則」を提案させていただき、賛成し、法案が成立した。正直申し上げると、去年や今年よりもあのときのほうが、議論が激しかった。
冷戦終結後、公明党はわが国の安全保障法制、それは有事法制、周辺事態法、国際協力の分野に関する各法制について深く関与してきた。今回のことが全然違う路線へ行ったとは思っていない。」(nippon.com)
「今回のことが全然違う路線へ行ったとは思っていない」
この言葉は、別な言葉に「翻訳」すると、こうなるだろう。

我々公明党は、冷戦終結後、一貫して、「憲法違反」的行動をとり続けてきた。
「平和の党」という看板を掲げながら、それに背く行動をとり続けてきた。
そのことで、日本の国民を裏切り続けてきた、と。

今回の安保法案は、公明党がいたから「歯止め」がかかった。
このように、公明党を「賛美」する声が聴かれる。

これは、誤りだ。
もし、公明党が、与党協義において、賛成をしていなければ、安倍政権は、「閣議決定」をだせなかった。

公明党が、賛成をしたことで、安保法案が、国会に提出されたのである。
また、公明党が、深く関与した。

今回のことで、公明党は、完全に「平和の党」から離脱し、「戦争の党」に変身した。
「公明党よ」、どこへ行く。

(2015年7月6日)

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