2015年7月4日土曜日

安保法案に「対案」は、必要とせず(上) 維新の党の、最大の「愚策」


「反対するなら、対案を出せ」
よくいわれる言葉である。
が、それは、絶対に必要なことではない。

ここにきて、維新の党が「対案」をだした。
それは、集団的自衛権の行使を容認すること、である。
時宜(じぎ)にかなっても、いない。

今出すことは、安倍政権を利するだけだ。
その意味で、最大の「愚策」である。

安保法制案の質疑に、「対案」は必要ない。
維新の「愚」策。
「意に反して」、安倍政権をささえてきた、公明党。

これらのことについて、思うところを述べてみたい。
昨日、維新の党が、安倍政権の安保法案についての、「対案」を出した。

このことについて、読売は、(「維新安保対案 民主は批判しかしないのか」と題する「社説」をのせた。
その記事に対しての、 ツイートでも、「対案を出すべきだ」という書き込みが、 少なからず、ある。


1) 反対するのに、「対案」は、絶対に必要か

反対する場合において、「対案」は、必ず必要なのであろうか。
「対案」をださずに、反対することは、いかなる時でも、許されないのであろうか。

ある「提案」が、出された時のことを、想定してみよう。
それは、こうなるであろう。

・前提①: ある「現状」がある。
・前提②: それについて、ある「提案A」を、作成した。
・結論  : ①、②より、「提案A」を採用すべきと、判断した。


さて、この提案に反対する人(C)は、「提案B」(=対案)を出す。
では、この「提案B」を出したC、のことを考えてみよう。

Cは、まず、前提である①を、必要と認める。
このことが、なければならない。

だが、「提案A」では、①を解決するには、効果があっても、それでは、不十分だ。
だから、「提案B」がよい、と考えた。

結果、「提案B」(=対案)を出した。
こういうことになろう。


だが、もし、かりに、前提①を、「そのままで、よい」とする。
あるいは、そもそも、前提①を、「認めない」という場合がある。
そういうときでも、反対するのに、「対案」が、必要なのであろうか。

わたしは、「対案」は、必要ではない、と思う。
その場合は、前提①について、「現状は、こうである」という事を、論理的に、説明すれば、足りる。

または、統計的に、場合によっては、「直感的」にでもよい。
それで、十分に反対する理由になる。
「対案」を、出す必要は、ない。


2) 公明党は、初めは反対していた

公明党は、最初は、反対していた。
だから、自民党との協議は、難航した。

「公明党の山口那津男代表は5日、集団的自衛権を行使できないとする現行の憲法解釈について、()『それなりの妥当性と内外の信頼性があると思っている』と述べ、解釈を変更して行使容認をめざす安倍晋三首相を牽制(けんせい)した。
 山口氏は「なぜ変える必要があるのか、どのように変えるのか。同盟国や近隣諸国、日本の国民にどのような影響があるのか。深く、広く、慎重に検討していく必要がある」と指摘した。(朝日新聞14年1月5日)」
「行使容認を禁じている現行の憲法解釈を踏まえ、「従来の解釈はそれなりの妥当性と国内外の信頼性がある。これを基本に議論したい」と首相を牽制した。・・・
 『平和の党』を掲げる公明党は()『解釈変更による行使容認は党の根幹を揺るがす課題』(党幹部)として一歩も譲らない構えだ。山口氏は5日、行使容認について『国民や国際社会の理解を得る努力が必要だ。まだそれらがなされている状況には至っていない』と述べ、時期尚早との考えを強調した。(産経新聞)」

これが、従来の公明党の考えであった。
だから、公明党は、(1)で書いた≪前提①≫について、自民党とは、違う見解を持っていた。

本来なら、自民党案に、「反対」をすべきであった。
安倍首相を、「いさめ」るべきであった。

「対案」は必要とせず、「どうしても憲法解釈を変更するなら、連立を離脱する」、と「脅す」手もあった。

それを、「妥協」してしまった。 
その結果出てきた、「対案」が、例の「3条件」である。

これで、「厳重な縛りが出来た」、とした。
そのことで、「公明党」内での、反対までも抑えようとした。

バックにいる、「創価学会」への、「言い訳」にした。


3) 維新の党の、「愚」

さて、維新の党、である。

維新の党も、最初は慎重な構え、であった。
それが、変わったのは、今年の6月7日の、「ある会談」のあとだ。

「ある会談」とは、安倍首相と、橋下大阪市長との、会談である。
この会談は、初めの予定では、松井知事と、安倍首相との間で、行われるようになっていた。

橋下大阪市長の、「たって」の願いで実現した、と伝えられている。(一部の報道による。)
その会談があったあとの、6月12日には、維新の党は、そうそうに、(「対案提出の考えを表明」した。

6月25日には、橋元氏が、「法案を提出し、党の思想をきちんと伝えれば、党が伸びる最大のチャンスになる」と、会見でいった。

同じ日に、松野頼久代表は、記者会見で、(「国会に出す出さないは、これから考える。採択に応じてダシにされてもしょうがいない」と述べた。

同じ日には、自民党の若手議員による「勉強会」で、「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」という発言が出た。

このことで、その後の国会審議は、紛糾。
マスコミや、知識人をはじめ、国民からも、「猛反発」を受けた。

安倍政権の一大危機である。
そんな中で、7月2日に、維新の党は、安保法案の「対案」を、国会に出した。

このタイミングで出すことは、安倍政権を「利する」以外の何物でもない。
同時に、それは、安倍首相の「手法」(例の「ナチスに習え」と述べた麻生氏の言葉)を、認める事でもある。
また、維新は、(7月13日に公聴会を開くことについても、賛成した。

これで、維新の党は、ついに「ルビコン川を渡った」といえる。
維新の党は、「一時的」には、党が伸びる事になるかもしれない。

しかし、その前途に待ち構えているものは、「シーザー」と同じ運命であろう。


(関連サイト案内)
「反対するなら対案を出せ」は正論か? 中郡久雄=sharescafe
新安保法制 維新の対案 与党を利してはならぬ=北海道新聞
維新の党「安保法制で独自案」 与野党3党に提示=テレ朝
第二章 論理的な反論の仕方=F2
寄付金1300万円未記載「忘れていた」 自民・井上氏=朝日
安保法制改正を問う=ブロゴス
安保法制審議 「80時間」目安にならない=西日本新聞
安保法案 「維新が急ぐようであれば・・・」民主・岡田代表は慎重=ブロゴス

※ 新しいニュースが、はいったので、改題をし、(上)(下)に分けての、記事にしました。2015/7/5

(2015年7月4日)

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