2015年4月29日水曜日

日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定 オバマ政権からの評価:


日米両国政府が、27日、新たな防衛協力の指針(ガイドライン)で合意した。
wsjは、「自衛隊の平和維持活動などへの参加拡大への道を開いた」と記事で書い
ている。 







その中身が重要なことであるのはもちろんのことである。
だが、さらに重要なのは、この再改定に関して、米国のオバマ政権がいかなる評価
をしているのかという点についてである。


この記事では、そのことに関して、ケリー米国務長官、カーター国防長官、ある米政府当局
者と三人の話を紹介している。

共に、米国務長官、国防長官、米政府当局者というオバマ政権の重要な地位についている
人物である。
オバマ政権の再改定に関する評価を代表するもの、といってよいだろう。

ケリー米国務長官は、
 「我々は、日本が自国だけでなく、必要ならば米国など同盟国を防衛する能力を確立した」
「日本の安全保障を強化し、脅威を抑止し、地域の平和と安定に貢献する」
ものである、と述べる。

カーター国防長官は、
「新ガイドラインでは地理的な制約がなくなった。これは極めて大きな変化である」
と、歓迎している。

さらに、ある政府高官は、
「日本と緊密な関係のある国が攻撃を受け、その攻撃が日本の安全保障に直接影響
を与えるようなものならば、日本は米国だけでなくその国への攻撃に対応できることになる」
と、言う。


ケリー米国務長官の「日本が自国だけでなく、必要ならば米国など同盟国を防衛」
という表現は解りにくい。

だが、それを補うのが、ある政府高官が話したという「日本は米国だけでなくその国
への攻撃に対応できることになる」という言葉である。
ここで使われている「緊密な関係にある国」というのは、米国のことであろう。

そうだとすると、つまりこのことは、単に米国への直接的な攻撃だけでなく、米国と
密接に関係する国への攻撃に対しても、日本は、防衛する責任を持つ、ということ
である。

これでは、日本は、際限なく米国の行動に付き合わされることになるのではないか。
もちろん、現時点では、いかなることがあろうとも、日本国憲法の制約がある限りは、
日本が他国に対して、直接的な武力攻撃を行うことは出来ない。

これは、日米安全保障条約(いわゆる安保条約)にも明記されていることでもある。
だが、もし、日本国憲法が改定され、第9条の趣旨が大きく損なわれるような事態
になれば、
話は別である。

そうなれば、直接的な武力攻撃さえ可能となることだろう。
安倍政権をはじめ、自民党や公明党が、日本国憲法の改正を急ぐ理由は、ここに
あるのではないか。

安倍首相が、テレビを使って、国民に説明した事例と大きく食い違いが出てくるこ
とになる。
我々は、この際改めて、あの日の会見を思い出す必要がある。

(2015年4月29日)