日米両国政府が、27日、新たな防衛協力の指針(ガイドライン)で合意した。
wsjは、「自衛隊の平和維持活動などへの参加拡大への道を開いた」と記事で書い
ている。
その中身が重要なことであるのはもちろんのことである。
だが、さらに重要なのは、この再改定に関して、米国のオバマ政権がいかなる評価
をしているのかという点についてである。
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この記事では、そのことに関して、ケリー米国務長官、カーター国防長官、ある米政府当局
者と三人の話を紹介している。
共に、米国務長官、国防長官、米政府当局者というオバマ政権の重要な地位についている
人物である。
オバマ政権の再改定に関する評価を代表するもの、といってよいだろう。
ケリー米国務長官は、
「我々は、日本が自国だけでなく、必要ならば米国など同盟国を防衛する能力を確立した」
「日本の安全保障を強化し、脅威を抑止し、地域の平和と安定に貢献する」
ものである、と述べる。
カーター国防長官は、
「新ガイドラインでは地理的な制約がなくなった。これは極めて大きな変化である」
と、歓迎している。
さらに、ある政府高官は、
「日本と緊密な関係のある国が攻撃を受け、その攻撃が日本の安全保障に直接影響
を与えるようなものならば、日本は米国だけでなくその国への攻撃に対応できることになる」
と、言う。
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ケリー米国務長官の「日本が自国だけでなく、必要ならば米国など同盟国を防衛」
という表現は解りにくい。
だが、それを補うのが、ある政府高官が話したという「日本は米国だけでなくその国
への攻撃に対応できることになる」という言葉である。
ここで使われている「緊密な関係にある国」というのは、米国のことであろう。
そうだとすると、つまりこのことは、単に米国への直接的な攻撃だけでなく、米国と
密接に関係する国への攻撃に対しても、日本は、防衛する責任を持つ、ということ
である。
これでは、日本は、際限なく米国の行動に付き合わされることになるのではないか。
もちろん、現時点では、いかなることがあろうとも、日本国憲法の制約がある限りは、
日本が他国に対して、直接的な武力攻撃を行うことは出来ない。
これは、日米安全保障条約(いわゆる安保条約)にも明記されていることでもある。
だが、もし、日本国憲法が改定され、第9条の趣旨が大きく損なわれるような事態
になれば、
話は別である。
そうなれば、直接的な武力攻撃さえ可能となることだろう。
安倍政権をはじめ、自民党や公明党が、日本国憲法の改正を急ぐ理由は、ここに
あるのではないか。
安倍首相が、テレビを使って、国民に説明した事例と大きく食い違いが出てくるこ
とになる。
我々は、この際改めて、あの日の会見を思い出す必要がある。
(2015年4月29日)