2015年4月17日金曜日

高浜原発再稼働の差し止めの決定と関電の火力発電所新設の動き:

福井地裁が関西電力高浜原子力発電所3,4号機の再稼働の差し止めを関電に命じる仮処分を決定した。
大飯原発に続いて、二例目の決定である。


この件に関して、読売オンラインが詳しく報じている。
この決定の持つ意味、その重要性、下級審とはいえ、まだこのような決定を下す裁判官がいること。

これらのことについては、北海道新聞の社説などが参考になろう。
ここでは、少し別の視点から、記事を書いてみることにした。


この決定を下した裁判官は、大飯原発の判決を下した事で知られる。
名古屋家裁に転任していたが、福井地裁職務代行の辞令を受け、この審議を担当した。

原発の再稼働の差し止めの審査を担当するような裁判官が、再稼働の差し止めの判決を出した後に、家裁に移動になった。
ところが、職務代行の命令をうけ、この度の審議を担当した。

そして、再び、原発の再稼働の差し止め命令を出した。
まず、そのことが、私には不思議に思える。


だが、私はこの決定を指示する。
私個人のみならず、私の家族のため、私の故郷に住む人々のためにも、この決定を歓迎する。
もちろん、日本の原発の再稼働に反対する人々のためにも、である。

私の故郷は、高浜からそう遠くない所にある。
もし、福島のような事故が起きれば、風向きによっては、故郷の地が不毛の大地になりかねない。

そうなれば、故郷の人々は、先祖代々の地を追われ、さまようことになる。
穏やかな今の生活を奪われ、慣れない土地で暮らすことになる。

住民の多くは、高齢者だ。
故郷の地を追われ、次に来る新たな暮らしがどのような悲惨な生活になるかは、容易に想像できる。

私にしても、故郷は心のよりどころである。
いつまでも、変わらぬ所であって欲しい。
たまには、墓参りができるところであって欲しい。


関電は、このところ矢継ぎ早に、火力発電所(もちろん燃料は原子力に頼らない)の建設を決定している。
それは、仙台、千葉、岡山の三カ所にのぼる。
電力が自由化されることを受けて事なのは、明らかなことだ。

関電は自社のホームページにおいて、「石炭はLNG(液化天然ガス)、石油などの燃料に比べて、埋蔵量が豊富で長期的に安定した電力供給ができます」とピーアールしている。

このことは、間違いではない。
関電の経営陣は、安定した経営を維持していくためには、火力発電の燃料を石炭などに頼る方がよい事は、よく分かっているのであろう。

だが今もって、地球温暖化が騒がれ、二酸化炭素が温暖化の原因である、と多くの人々が信じこまされている。

自民党が議会で圧倒的多数をしめている。
この状況は、当分変化しそうにない。
その自民党は、原発の再稼働を「国是」として、頑として譲らない。

このような状況にあって、なお国の方針にさからうことは、電力産業が国の許認可を必要とする中においては、やむを得ないことなのであろう。


福島のような大惨事があっても、誰一人逮捕されず、誰一人責任をとらないような今の日本にあっては、福井地裁が下したような決定は、住民の安全を保障するためには
唯一の救いである。
私にはそう思えるのである。

(2015年4月17日)