2015年4月16日木曜日

アーミテージ氏が訪米について「指令」/安倍首相はどう答えるのか:

安倍首相の米国訪問に先立って、米国からの「指令」が発せられている。

米国元国務副長官のアーミテージ氏が、その「指令者」である。
米国議会においての安倍首相の演説について、事細かに注文をつけた。

それは、次のような内容だ。


①単に米国民に向けてだけでなく、世界に向けた内容の演説にすべきだ。
そのためには、特定の言葉だけでは不十分である。
誠実さを示すべきだ。
それは、日本や戦中に苦しんだ全て人々に対して示される必要がある。

②また、TPPにも言及した。
アジアにとって重要なので前向きな見解を表明すべきである、と注文をつけている。

③一方で、オバマ大統領が日本を訪問する際は、広島・長崎を訪れる事には賛成だ。
その際には、悲しみの気持ちを表明しても、謝罪はすべきではない、と注文をつけた。


安倍首相は、公明党との対談で、米国の訪問について説明した。
日本の役割、存在感を米国人に知って貰う機会にしたい。
日米防衛協力の指針の再改定を同盟強化につなげることを確認する場にしたい。
このように述べたと報じられている。

また、安倍首相は身近に迫った、もうひとつの重要事項について、次のような方針を固めた、というニュースもある。
4月22日のアジア・アフリカ会議(バンドン会議)のことだ。

この会議の演説において、先の大戦の「反省」を表明。
しかし、「お詫び」には言及しない。
このような決定になりそうだ。


アーミテージ氏のことは、時事通信社のインタビューに答えた、と言う形である。
その記事は、氏のことを「知日派の重鎮」と書く。
知日派とは、よく言ったものである。

その「知日派」のアーミテー氏がどのような人物であるかは、記者は百も承知のはずだ。
これではまるで、御用聞きである。
安倍首相の訪米を前に、ワシントンの「真の住人」の所へ御用聞きに伺った。

「私の国の首相がこの度、ワシントンに参ります。一体何をどう演説すればいいのでしょうか。大統領とはどんな話をすればいいのでしょうか?」
こう聞きに行ったようなものだ。

さて、この「指令」に、安部首相はどう答えるのであろう。
これまでの経過を観れば、それは明らかなことだ、と思われるのだが。


ところで、アーミテージ氏はオバマ大統領の訪日に関連して、もし広島・長崎を訪れる事があっても、謝罪はすべきではない、とクギを刺した。

日本には、言葉だけではない誠実な反省を求めても、米国にはその必要はない、ということのようだ。
果たしてこのことを、日本の国民はどう受け取めるのだろう。

「侵略戦争」をしたのだから、原爆を落とされたことは仕方ない。
米国の大統領が原爆投下について、日本国民に謝罪しないのは当然のことである、と認めるのであろうか。


さて、安部首相である。
バンドン会議で「反省」を述べるだけで、「謝罪」には言及しない方針のようだ。
では、米国の議会においての演説は、どうするのか。

あっちではああ言い、こっちではこう言うのか。
アーミテージ氏もいうとおり、世界中が注視している。
それは、米国議会の演説だけのことではない。

この際、「二枚舌」は通用しない。
それこそ、誠実な対応が求められる。
世界に向けて、如何なる演説をするのか。

日本では、ゴールデンウイークの最中のことである。
浮かれてばかりいないで、世界の国民と同様に、我々も注視したい。

(2015年4月16日)