2013年9月2日月曜日

オバマ政権がシリアへの軍事介入を急ぐのは何故(4)(改題)

シリアの内戦に、オバマ政権が軍事介入を急ぐのは何故かを考えるうえで、この号では3点について考察します。

1点目は、中東情勢そのものについてです。

2点目は、アフガンニスタンの米軍の撤退に関連することです。
3点目は、米国の国内事情にかんしてです。


■ まず中東情勢を、ごく簡単に俯瞰します。( ○=アサド支持  ◆  ×=反体制派 )

トルコ          アサド政権に敵対。反体制派に武器供与。×


レバノン         ヒスボラ(シーア派)が、アサド政権に加勢。○


イスラエル       レバノンのヒスボラと対立。つまりは、反体制派。×


ヨルダン        難民(約45万人)を受け入れ。自国民との軋轢が生じている。△
   
イラン          イスラエルと対立。レバノンのヒスボラを援助。アサド政権側。○

イラク          アルカイダ(スンニ派)が反体制派に参加。反体制派。            ×
              国内では、シーア派とスンニ派が対立。内戦状態に近い。

サウジアラビア    反体制派。イランにとっての最大のライバル国。          ×
      ( CNNの記事を元に作成。ただし、○、×の判定は、当瓦版の意見 )
大まかに見て、7か国のうち、4か国が、反体制派を支持している。ヨルダンはどちらでもないので、アサド政権支持国は、2か国だ。

この中で米国の国益にとって重要な国は、イスラエルとイランであろう。

米国はイランが核兵器を持つことを、中東地域における米国の最大の懸念としている。

イスラエルとの関係も重要なのは、言うまでもない。


オバマ大統領は、2013年3月20日に初めてイスラエルを訪問しました。そして、その時に、

イスラエルは米国にとってかけがえのない同盟国だ」と強調しました。

イスラエルのペレス大統領も「両国は同盟国として共通の課題に取り組んでいる」と述べています。

同時に、「イランの核開発阻止を目指す米国に理解」を示した、とされます。

両者は「イランの核開発阻止という点」で、一致したようです。

イランが両国の国益にとって大きな障害であることを確認し合った、ことになります。

「米最大の圧力団体とされるユダヤ・ロビーの支援を受けて2度の大統領選を乗り切った」とされるオバマ大統領にとって、イスラエルとの関係強化は、重要な案件でしょう。


シリアのアサド政権を倒すことで、中東の安定を図りたいとの考えでしょう。

しかし、いまのシリアは、「中東の火薬庫」と言ってもいいぐらいです。

ミサイルを撃ち込んだだけでは、とてものこと終わりにはならないでしょう。

帰って、争いを拡大するだけに終わることでしょう。

アフガンでもイラクでもそうですが、米国の政府は、相手の親玉の首を取れば、それで戦争が片付くと言う考えがあるようです。


しかし、アフガンもイラクも、そうなりませんでした。

戦闘で勝っても、戦争は終わりませんでした。

ミサイルや、ロケット弾で建物を破壊することが出来ても、民衆の心までは破壊することは出来ません。


自分らの正義があるように、相手にも相手の正義があるのです。

オバマ政権がこの事を忘れるなら、再びシリアでも負けることになるでしょう

■ 次にアフガンです。 


現在アフガン国内には、「63千の米国兵士がいるが、来年2月までには、その数は34千にまで削減され、さらに2014年末までには、米軍部隊の大部分は撤退する予定となっている。・・・(また)
同国に米軍兵士を一人も残さないバリエーションも検討している。」とされる。≪9日、新聞「New York Times」が伝えた。≫ーThe Voice of Russiaによるー

つまり、少なくとも、3万あまり、多ければ6万3千人が、アフガンから撤退することになる。


この兵士たちをどうするかは、オバマ大統領にとっては、頭痛の種に違いない。


しかし、アフガンからの撤退は、オバマ大統領の公約だ。
日本などとは違い、公約を守らなければ、弾劾を受けて、失職する。

これもどうしてもやり遂げる必要のある案件だ。
今回のシリアへの攻撃は、ミサイルでのピンポイント攻撃になると、オバマ政権は公言している。
アサド政権を転覆させる意思はなく、攻撃は3日の短期間で終了するという。

しかし、このオバマ政権の目論見は、そう簡単には実現しないでしょう。
アサド政権は、いかなる攻撃であろうと、総力をもって反撃すると述べており、戦争が長期化するのは避けられないであろう。

実はオバマ政権も、本当の所では、この事を想定済みではないかと、思います。
戦争が短期で終わらなければ、アフガンの兵士をシリアに持っていける。

アフガンから撤退すると言うことの約束は、形の上では果たされたことになります。(素人考えかも?)

さらには米軍の軍事予算の大幅な削減が、予定されているという事情もあります。
シリアでの戦争が長引けば、再び軍事予算の増額を実現できるかもしれない。

米国の産軍複合体にとっても、願ったり叶ったりのことだろう。

■ 三点目です。

米国内が揺れています。
一つは、市民によるデモの例を、ふたつ。


① 【中西部ウィスコンシン州の州都マディソンの州議会議事堂で811日、毎昼に「団結の歌」を歌い続けてきた市民33人が逮捕され、法廷で無罪を主張したというからだ。この合唱デモは20112月以来、2年以上も続いている。】」

 【このデモが全国中継されたため、ドキュメンタリー映画監督マイケル・ムーア氏など有名人や有力政治家、政治資金を提供する億万長者らがマディソン入り。さらに、運動は州内の大学キャンパスや、ニューヨーク州やカリフォルニア州など全米に飛び火した。 ② 今回は、912日に起こったアメリカ最大規模の200万人デモ行進。  
 

                  ( 道路を埋め尽くすデモによる人の波)

当時の米国メディアは、数千~2万人程度のデモと表現しました。
当時は、正確な規模が分からず、やや尾ひれが付いて大袈裟になったのかな?とも思いました。その日は、200
万人の証拠の映像を探しましたが見つかりませんでしたから・・・。】
(youtubeにあり)


次は,CIAによる盗聴問題である。YAHOO JAPANが伝えた。(2013/8/30)


【米国安全保障局情報漏洩者で新ロシア住民のエドワード・スノーデンが、最高機密の520億ドル諜報予算Washington Postにリークした。一部編集済みの予算書には、米国の無秩序に広がる諜報ツールの成果や弱点、さらには最高レベルの予算項目の正当化理由などが暴露されている。

CIAおよびNSAは、情報奪取、敵国システムの妨害を目的とした海外コンピューターネットワーク侵入の新たな積極的取組みをスタートし、「攻撃的サイバー作戦」と名付けて予算を計上している、と同紙は書いている。】

他に移民問題もある。メキシコからの越境者が増加していること。
さらには、米国の債務残高が2012年12月で、1460兆円になったこともあります。
2013年8月27日には、「米国のルー財務官が、デフォルト懸念」と報じられたばかりです。
経済が行き詰っているようです。

これらのことを一気に解決してくれるのが、戦争です。
過去の米国政府の常套手段でした。
その点では、中国と手法が変わらない。

*  次回最終回。米国独自の歴史的要因についての、オバマ政権と関連を観ます。