2016年7月9日土曜日

『判決の一部を取り消してほしい。はなはだ変な判決だ』

裁判所が出した判決について、感想を述べることは、自由だ。しかし、立法府である国会に席を置く議員が、「判決を取り消せ」と言うのは、いかがなものか。




『判決の一部を取り消してほしい。はなはだ変な判決だ』(平25年)



「国会が選挙制度の改革に真剣に取り組んでいたかは疑問だ。投票価値の不平等を是正しなかつたことは、国会の裁量の限度を超えていた」

平成25年7月に行われた第23回参院選での「一票の格差」の問題に対して、出された判決文の中で言っている言葉である。

この判決で裁判所は、岡山選挙区の選挙を無効とした。
その際、国会の怠慢を厳しく指摘した。

それが「シャクに障った」のか、自民党の脇雅史参院幹事長が記者会見で述べたのが、冒頭に引用した言葉である。

脇幹事長は、参院選挙制度協議会の座長を務めている。

判決文が「本質的協議が行われているとは認められない」と指摘していることに、腹がたった、のだろう。

「裁判所に進行中の協議に言及する資格はない」と批判した。



脇氏は本当に、三権分立の意味を理解しているのか。
国会が議論している最中の協議の内容に言及するのは、裁判所の権限を逸脱したものなのか。

もし、「チェック・アンド・バランス」の原理が働かないと、独裁政治になる。
 脇氏はこのことが、解っているのか。

裁判では、参議院の「一票の格差」について争われているのである。
裁判所が、参院での協議会について審査するのは、当然のことだ。

問題は、参議院が真剣に自分たちの責任を自覚していないことにある。

「ダラダラと牛のよだれ」のようにして、いつまでも議論をまとめようとせずに、問題に真剣に取り組んでいないことにある。

参議院には解散がない。自分たちの「特権」の上にあぐらをかいている。
そう思われても、仕方ないだろう。


問題の本質は、参議院が「小手指の対応」で済まそうとする態度にある。
それは同時に、付託を受けた国民に対する裏切り行為でもある。

(2016年7月9日)

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