2016年3月8日火曜日

雪深い丹後の里にも、雪国の春は来る

柳田国男の『雪国の春』に、次のようにある。

『北国でなくとも、
京都などはもう北の限りで、
わずか数里を離れたいわゆる比叡の山蔭になると、
すでに雪高き谷間の庵である。

それから嶺を越え湖を少し隔てた土地には、
冬籠りをせねばならぬ村里が多かった。


丹波雪国積らぬさきに つれておでやれうす雪に

という盆踊りの歌もあった。

これを聞いても
山の冬の静けさ寂しさが考えられる。

日本海の水域に属する低地は、
一円に雪のために交通がむつかしくなる。』

丹波、丹後は、本州の北海道である。
こういう土地で生まれ、育った人々にとって
春は、特別な季節である。

蕗のとうや、土筆(つくし)が、
雪のあいだから芽を出すと、
雪国にも春が訪れが感じられるようになる。

田畑の根雪が溶けて、黒い土が顔を出すと、
心が浮き立つ。

冬ごもりから覚めて、
山に分け入り、田畑で鍬(すき)をふるう。

それはまた、実りの秋にむけて、
土や草とのたたかいが始まるときでもある。

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